ウォーターシップ・ダウンのウサギたち

今日のおすすめは、リチャード・アダムス著
『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』(評論社)です。
1975年に翻訳をした神宮輝夫さんが30年の時を経て新訳をしています。

物語は11匹の若い雄ウサギが、危険を察知した仲間の言葉を信じ、
生まれ育った場所から逃れるところから始まります。

未知の危険に幾度も遭遇しながら、
そのたびにウサギたちは体力と智恵を使い
平和に暮らせる土地を探して冒険を続けます。

私はこの本を、稀代の本読みの友人が小さい頃に読んだ本として
大人になってから教えてもらいました。
子どもの頃に読んでいたらもっとドキドキしながら読んだと思いますが、
大人でも十分に楽しめます。

作者は娘二人にせがまれてこのお話をつくったそうで、
彼女たちを楽しませるためだけの物語で、寓話ではないそうですが、
大人が読むと作者の意に反して
自分達の世の中にあてはめてしまえる部分が多く出てきます。

例えば、あてがわれた“豊かな暮らし”の裏にひそむ危険、
“強い指導者”のもとで起きる悲劇。
しかし、ウサギたちはそれらを「おかしい」と感じ、
自分達の力で乗り越えていきます。

印象に残る場面はたくさんありましたが、
私は最後のところがとても好きです。
もし機会があればぜひお読みになってみてください。

またウサギたちに会いたければ
いつでもこの本を開けばいいのだと思うと、
ちょっとうれしくなるような本です。

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