日々談笑-小沢昭一対談集
今日のおすすめは『日々談笑-小沢昭一対談集』(ちくま文庫)です。
この本で17人の人々と対談する小沢昭一さんは俳優であり、
民俗芸能の研究家でもあります。
そして、そのほかにもたくさんのひきだしを持った人なのだと、
この本を読むとわかります。
最初に登場するのは柳家小三治さん。
二人の可笑しい話に思いきり笑わせられます。
元の単行本が少し前の本なので、もう亡くなられた方も幾人か登場します。
漫才の内海好江さんとは、東京下町育ち同志。
お祭りの話、戦前の浅草の話など、
今はほとんど語れる人のない話がたくさん出てきます。
読みながら、三味線で都々逸などきかせた
桂子好江の漫才を思い出しました。
騎馬オペラ「ジンガロ」の団長との対談も、
きっと小沢さんでなければ引き出せない話だろうと思います。
人の魅力を引き出す、それも飄々として。
お話の名手は対談の名手でもありました。
もう聞くことのできない話がたくさん入っている、
読んで損のない本だと思います。
今日の終わりに、書店営業で伺った本屋さんのお話を少しいたします。
それは三崎堂というお店で、
三浦市の三崎港のすぐそばで三代目の店主が守っておられます。
私のところの本をご注文くださったので訪ねてみると、
店内の書籍も雑誌も、1冊1冊とても丁寧に置かれていました。
編集者にとって本は我が子のようなものです。
大事に扱ってもらっていると、本当に嬉しい気持ちになります。
そして、大事にしてもらった本は、きっと買ってくださったお客さんにも
ほんの少し大事にされるのではないかなと思います。
話を伺えば、全国の街の書店と同じく、
三崎堂さんも多くのご苦労と格闘していました。
本が好き、本屋が好きでやっているからこその工夫とがんばりとで
お店を続けています。
すぐそばに地元でとれる魚を料理してくれるお店があり、
今度はぜひそこに行ってみようと思っています。
丁寧に大事に仕事をしている本屋さんに会いにいくついでに。