ルリユールおじさん

今日のおすすめは、絵本『ルリユールおじさん』(理論社)です。
パリの街、バラバラになってしまった大事な植物図鑑を直してもらうため、
女の子がルリユールおじさんの工房を訪ねます。
ルリユールとは「製本」で、一度きれいにばらしたあと、
60もの工程を経た手仕事で、新しい本に生まれ変わります。

女の子と本を直すおじさんとの時間の流れが
とても静かでゆったりしているので、
読んでいるこちらも、パリの街角で
二人を見ているような気分になります。

お話の中では、「製本」の工程が、
絵と文章でとてもわかりやすく描かれています。
著者(絵と文)のいせひでこさんは、
ルリユールの職人としての誇りと情熱に魅せられ、
スケッチするために、パリにアパートを借りて何度も通ったそうです。

この本がたくさんの人に読まれているわけは、
ルリユールの丁寧な手仕事を、
同じくらい丁寧に著者が描いたからではと思います。

ルリユールには「もう一度つなげる」という意味もあるそうです。
書物という文化を未来に向けてつなげようとする職人達の心に
強く惹かれた著者の思いがあふれています。

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