少女パレアナ

今日のおすすめは、エレナ・ポーター著、村岡花子訳『少女パレアナ』(角川文庫)です。
こどもの頃に「ポリアンナ」という映画を絵本にしたもので読んだことがありますが、
小児科医の細谷亮太さんが新聞ですすめていたので、
あらためて小説のほうを読んでみました。

物語は両親と死別したパレアナが叔母にひきとられるところから始まります。
厄介者を引き受けなければならなくなったと思った叔母に冷たくされながらも、
父親から教わった「どんなことからも喜ぶことをさがしだす」遊びで
パレアナはひとつひとつ乗り越えていきます。

この「喜びの遊び」は街中の人に幸せな変化を与えていき、
最後には叔母さんにまで驚くようなできごとが起こります。

たぶん小さい頃に読んだときには主人公のパレアナ(ポリアンナ)に共感していたはずですが、
今度読んでみると、パレアナをやさしく見守る屋敷の雇われ人、ナンシーとトム爺、
しだいにパレアナが愛しくなる叔母の気持ちのほうに共感していました。
年をとった分、健気に喜びをみつけようとするパレアナを応援する気持ちのほうが
強くなったようでした。

細谷亮太さんはこの本をすすめた理由として、
生きていく上で「いいことさがし」ほど重要なものはないと思う、と書いていますが、
まだ小さいこどもが病と闘わなければならない様子を見続けてきた方の
心からのことばと感じました。

「少女」に強く共感する時期は過ぎてしまった方にも、
ままならない世を生きるヒントがあります。

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