[旧字源]旧漢字でわかる漢字のなりたち
旧字を知ると、漢字の本来の意味や語源までわかります!
特徴と内容
- 今使っている新字体になって、意味がわからなくなったり、音のグループからはずれてしまった字があります。
それらを中心に旧字をもとに字の意味、語源を探ります。 -
1章で新字体ができる経緯について述べているので、明治期に盛んになった漢字不要論からの流れがわかります。
- 最後の章で漢字の歴史を甲骨文字まで遡って説明しているので、1冊通して漢字の全体像がつかめます。
書籍名 | [旧字源]旧漢字でわかる漢字のなりたち |
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著者名 | 青木逸平 |
出版年 | 2018年 |
定価 | 本体1700円+税 |
判型 | A5判並製 |
ISBN | ISBN978-4-902381-38-2 C0081 |
目次
- 1章「旧漢字とは」
- 「旧漢字」とはなにか?
- 当用漢字表・新字体までの道のり
- 当用漢字のその後
- 新字体と旧字体
- 漢字をめぐる混乱と迷走
- 漢字のこれから
- 2章[旧字源]――旧字体から字源をさぐる
- 3章 漢字の歴史と基礎知識
- 漢字の歴史
- 漢字の渡来と日本的な変化
- 新旧字体対照表・索引
★本書刊行の理由★ 2019年1月版元日誌(版元ドットコムホームページ掲載)
漢字の変化にこだわる
昨年、どうしても自分が欲しいと思っていた本を出すことができました。
『[旧字源]――旧漢字でわかる漢字のなりたち』です。
戦後新字体に変わったために、意味がすぐわかるような部分がそっくり取られてしまったり、音のグループから外れてしまったりした字があります。以下本書にある内容ですが、例えば「栄」はもともと「榮」。この旧字だと先に火のついたたいまつを組み合わせた形で、さかんにかがやくさまから‘さかえる’になったことがわかります。また、「仮」は旧字体で「假」であり、つくりの部分が‘かり’の意味をもち、「暇」と同じく「カ」という音をもつグループでしたが「反」をつくりにあててしまったために「カ」のグループから外れ意味もわからなくなりました。
そうした変更がどのくらい、どのようにされたのかをできるだけ知りたいと思い、幸いにも書いてくださる方をみつけることができました。
もともと漢字は長い歴史の中でさまざまな変遷があり、『康煕字典』にも不統一があり、本家はすでに簡体字になっているなかで、変化にあまりこだわっても意味がないという考え方もあります。ただ、直近の大きな変更がどのようなものだったか、主なものだけでも書いていただくことができ、残せたことはよかったと思っています。
明治以降、西欧列強におくれまいとして漢字をなくそう、制限しようとした知識人たちがいました。そのあたりの歴史も本書では触れています。敗戦でGHQから受けた漢字制限の勧告を好機と見た人もいたようです。
一方で、清の康煕帝は、異民族だったにもかかわらず漢民族支配のために漢字文化を吸収し、『康煕字典』が生まれました。戦乱や異民族支配を経ながら3000年の風雪に耐えた漢字を今私たちは使っていて、中国の大昔の書を見て好ましいとかこんな風に書いてみたいなどと思えるのは随分贅沢なことではないでしょうか。
当用漢字でなされた制限はしだいに緩くなり、今では旧字を目にすることも増えてきました。そうした変化も興味深く眺めつつ、もう少し漢字にも日本語にもこだわっていきたいと思っています。